今回で11回目となる「たちかわの輝く個店」の受賞店が決まりました。輝く個店に推薦された200ほどの候補のお店から、中小企業診断士やタウン誌編集者、商店街の代表等で構成される審査会が現地調査などを行い「輝く個店」表彰店舗が決まるそうです。
今回ご紹介する「ほっとすぺーす中屋」さんも今回受賞された個店の一つ。
普段、お祭りで半纏を羽織るぐらいしか、和装に接する機会がない編集部ですが、日本人としていつか着物をという憧れもあります。
中屋さんは大正11年創業の立川で3代続く老舗の呉服店。
立川南口、駅前のロケーションでショーウインドウには季節に合った「旬」の着物や帯を毎週変えているそうです。日頃からお店に訪れるお客様に季節や変化を感じてもらえることが、「輝く個店」受賞の理由かも知れませんね。
1階には普段着の着物、履物、和装小物などが品揃え。
着物を着る機会がなかった若い人たちに着てもらいたいという思いから、木綿の着物をオーダーで細帯に履物、下に着る襦袢(ジバン)がついて5万円ほどですべて揃います。まずは普段着からスタートして、着こなしに慣れてみるのもいいかも知れませんね。
くまさんのこんなかわいい帯も。
2階に上がると「きもの 中屋」の暖簾。重みがありますね。何というか、ここからが呉服屋さんの醍醐味でしょうか。
まさに豪華絢爛。
迫力がありますね。
この空間の中で着物を選ぶ程よい緊張感。
3代目店主の中里晋さんにお話を伺いました。
立川新聞
先ほど、5万円で一式揃う着物で、着物を着る人の底辺を掘り起こしたいと考えているとお話しいただきましたが、女性の方は七五三にはじまり、卒業式や成人式で着物を着る機会がありますよね。男性の自分はお祭りでの半纏ぐらいで・・・お恥ずかしいですがそれぐらい着物を着る機会がなくて。先日、高校の息子の卒業式で着物をお召しになっているお母さま方がなんというか、やはり目を奪われますね。すいません・・・ついつい話がそれてしまい。
中里さん
いやいや、ほんと今はそう。着物屋って?呉服店って何?若い人はピンとこない、私の生活には関係ないって・・・
難しい事なんですけど底辺を拡大したいって、呉服を扱っている者としては考えているんです。
こうやって三代、立川で着物に携わってきて、気軽に普段着として着物を着てもらえたらと思っていて、一揃い5万円のオーダー着物は着てもらいたい第一歩。そういう思いがありますね。
そこで、着物をお召しになる際の慣習、習慣、ルールを伝えるのも役目と思ってたり。正装っていうのは未婚なら振袖、既婚なら紋付に裾模様だったり。
立川新聞
ほんとに、着物を着る機会がないと、わからない知識ばかりで・・・ お祭りでも褌の正しい巻き方は、やってみないとわからないですよ。今度、着物を着る時には教えてください。
中里さん
もう一つは着物に携わっている作り手の想いを伝えていきたいという想いがあるんですよ。
沖縄には特色のある織物がいろいろあるのですが、その中に芭蕉布がある。これはバナナの仲間のイトバショウという植物の皮をはいで、それを細かく裂いていって繊維をとる。その繊維をつないで一本の糸にしていく、着物一枚(一反)分を作るのにイトバショウ200本を必要とする。バショウを育て、切り倒し、皮を裂いてつないでいく作業から、染めて織ってという完成まで一人でやっていく。
人間国宝の平良敏子さん。(追加情報:平良敏子さんは今年白寿を迎えます)
この人の88歳のお祝いで分けてもらったんだけど、最初から最後まで一人での作業工程やその素晴らしさを知ってほしい、それがもう一つの呉服屋さんの使命、伝えていく役目だと思っています。ちょっとおこがましいのですが(笑)
「本物を作っている人の代弁者」それが呉服屋さんとしての使命
「唐織りといって能の衣裳にも使われる織物なんです」と中里さん。
「敷居が高い着物のイメージにとらわれず、ライフワークのように全国各地に赴き職人の仕事に触れ、確かな目で選び抜いた品物を持ち帰り、本物の素晴らしさを伝えていきたい」と中里さん。
中里さんは長い間立川のまちづくりにも活躍されていて、「街ゼミ」にも積極的に着物のゼミを行う「まちづくり立川」の一員。立川を盛り上げていく大先輩にあたるわけです。
「ほっとすぺーす中屋」さんは着物と立川のことを気軽に尋ねられるそんな輝く個店です。それが、老舗として今後も続いていく所以のように感じました。
ほっとすぺーす中屋
営業時間:10:00~19:00
定休日:水曜日
電話番号 :042-522-2932
Webサイト:http://www.hs-nakaya.com/
住所:立川市柴崎町3-6-30 中晋ビル1F