Tachikawa Photo Essay「雨のステイション」

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立川で撮影した写真と短編のエッセイで綴る「Tachikawa Photo Essay」をはじめます。

第1回目は梅雨時に相応しいテーマ。


 

Tachikawa Photo Essay「雨のステイション」

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西の空をみた昼すぎ。

明るいのに、雲たちが梅雨晴れに水をさす。

淀む空気に東中神の駅がかすむけれど、踏み切りを行き来する車が映えては消える。

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隙間から差す空のめぐみに照らされて車体がちらつく。

まぶしさに眉をひそめていると、不意に大きなしずくが顔を濡らした。

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狐の嫁入りに巻かれぬように走って屋根の下へ逃げた。

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熱にうだるホームに雨の飛沫があがる。
ふと見上げると、屋根裏に逃げた雀のつがいが身を寄せていた。

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煌めく打ち返しはじきに鳴りを潜めて、薄墨の天井がおちてくる。

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上り列車の訪れに足を入れたとたん、いつかどこかで聞いたメロディ。

まるでガラスの風鈴みたいに優しい音。
たしかあれ、荒井由美っていう歌手だった。

筆者プロフィール
おおつきみつあき
文筆家、イラストレーター

「雨のステイション」

作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

新しい誰かのために
わたしなど 思い出さないで
声にさえもならなかった あのひと言を
季節は運んでく 時の彼方
六月は蒼く煙って
なにもかもにじませている

雨のステイション
会える気がして
いくつ人影見送っただろう

霧深い町の通りを
かすめ飛ぶつばめが好きよ
心 縛るものをすててかけてゆきたい
なつかしい腕の中 今すぐにも
六月は蒼く煙って
なにもかもにじませている

雨のステイション
会える気がして
いくつ人影見送っただろう
雨のステイション
会える気がして
いくつ人影見送っただろう

ユーミンの「雨のステイション」の舞台西立川。
発車メロディにもなっていて。駅の昭和記念公園側には雨のステイションの歌碑もあります。

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曲が作られた頃は米軍キャンプがまだあった1970年代。
その当時、駅の北側は米軍基地、通称フィンカム(FEAMCOM)で、 基地内の「スピード」というディスコで遊んだ帰り。
西立川の情景が曲になっているといわれてます。

「雨のステイション」はノスタルジー溢れる西立川駅でした。

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文・写真:Yuji Toda
立川新聞編集長/カメラマン
https://www.yujitoda.com/

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