前回紹介した立川公園の奥に広がる小さな“トトロの森”。
さらにその奥で、木々に隠れてひっそりと佇む古い小屋がやけに気になり、今回お邪魔させていただきました。
入口は公園と逆側。多摩モノレール「柴崎体育館」駅の東側から立川駅方面に向かって緩やかな坂を上り、最初の信号を右に曲がると、右手にレトロな緑色のアパートが見えてきます。
そして、その手前に何やら青い看板が。
青い看板と緑色のアパートの間を右に曲がると、またその先に青い看板…。
看板に導かれるがまま、急な坂を下ります。滑りやすいので足元に注意。
すると、やがて右手に建物の入り口が姿を現します。
コケを纏った瓦屋根。
不思議なオブジェ。
年季の入った建物と対照的な、みずみずしいブルーとホワイトのペイント。
外観から既にワクワクしてしまうこの建物の正体は、2015年の2月にオープンしたアーティスティックスタジオ 「LaLaLa」です。
アートディレクターやプランナー、カメラマン、編集など、マルチに活躍するしおみえりこさんが主宰するアートスペース兼カフェで、さまざまな展示や音楽イベント、ワークショップなどが催されています。
中に入るとこの通り。
外観同様ブルーとホワイトを基調にした爽やかな色合いと、手作り感が溢れるぬくもりのある空間は、アーティストの成田ヒロシさんによるもの。
ちょうど今は「アーティストが描くTシャツ展」の期間中で、室内には素敵な作品が展示されていました。
立川新聞
お店をオープンしたキッカケは?
しおみさん
東日本大震災の被災地支援活動で宮城県石巻市を訪れたとき、かめ七呉服店から「支援のお礼に」と、津波で被災した着物を譲り受けました。それを使った作品制作や保管をする場所として、ここを立ち上げました。
立川新聞
被災して汚れた着物でどんなものを作っているんですか?
しおみさん
主人がクラリネット奏者なので、リメイクして楽団のステージ衣装にしています。また、衣装を作る時に出る切れ端を使って50×50cmのタペストリーを作るプロジェクトも行っていて、これまでに世界25ヵ国で3歳から95歳までの人が参加し、2500枚ものタペストリーが完成しました。
このプロジェクトを通して全世界が繋がり、将来は石巻に完成予定の文化ホールの緞帳になってほしいと願っています。
立川新聞
こちらのオブジェも気になります。
しおみさん
これも被災地支援の一環。津波で流された楽器を使い、立川在住のアーティスト、赤川 BONZE 政由さんに新たな命を吹き込んでもらった作品です。
立川新聞
たしかに、よく見るとさまざまな楽器の使われているのがわかりますね。
立川新聞
それにしても、なぜこの場所を選んだんですか?
しおみさん
なんといっても公園の隣というこの景観は、何物にも代えがたい魅力です。お気に入りの場所はベランダ。緑に包まれて、東京ではなかなか味わえない癒しの時を過ごせます。
さらに、ベランダの急な階段を下りて1階に行くと、そこはアーティストの工房になっています。
工房の中を少し見せてもらいましたが、材料や工具、機器などとともに、過去に誰かが作った作品や古いポスターなどが置いてあって、まさにアーティストのバックステージといった雰囲気。
ここから素晴らしい作品が多く誕生したと思うと、つい心が躍ります!
LaLaLaでは8月まで、「アーティストが描くTシャツ展2016」が開催されていて、22人ものアーティストが描いたTシャツを実際に購入することができます。中には手書きで描かれた貴重な作品もありますが、価格は5000円以内と決まっていてかなりお得。
他にも、奥にあるスペースではムーミンやマリメッコなど、人気の北欧雑貨の販売も行われています。こんなにオシャレなアイテムが、まさかこんなところで販売されているとは…驚きです。
立川公園の奥には、アートを愛する人が共鳴し合う素敵な空間が存在していました。
そこはまるで、ジブリ映画「耳をすませば」に登場する喫茶店「地球屋」のように、今日も運命に引き寄せられた人を優しく招き入れます。
アートに触れ、しおみさんの言葉に触れると、あなたもきっと「私も何かを創りたい!」という欲求に駆られるはず。そんな思いを広い懐で受け止めてくれる、立川の隠れた“アートの発信地”というべき場所です。
8月はイベントが目白押しなので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
●8月のイベント
「アーティストが描くTシャツ展 2016」
期間:7月15日(金)~ 8月28日(日)
入場無料
「林家とんでん平 投げ銭ライブ落語会」
日時:8月1日(月)第一部 15時~ / 第二部 19時~
「浴衣 de お茶会 ~きもの娘 まゆこのきもの談義~」
日時:8月11日(木)15時~
8月16日(木)15時~
料金:1500円(お茶と和菓子付)
「真夏の夜の物語 ~灯の中の投げ銭ライブ~」
概要:画家で詩人の成田ヒロシさんによる紙芝居「ブラックライトガーデン」と、美術家の太田拓美さんによる影絵ショー「光のサーカス」の特別公演
日時:8月13日(土)18時~
●artistic studio LaLaLa
住所:立川市柴崎町4-3-2 LaLaLa
電話番号:090-2564-3198
テキスト・写真:しも
長野県安曇野市出身、立川在住のフリーライター。レゲエユニット「KaRaLi(カラリ)」でミュージシャンとしても活動中。
カラリのしも:FacebookKaRaLi