立川で撮影した写真と短編のエッセイで綴る「Tachikawa Photo Essay」
10月のPhoto essayは入社し入学したものの、顔の見えない幻を相手に戸惑う若い人。就活に身を置きつつ明日の見えない学生。降りたシャッターのカーテンを見ながら通う通勤時間に通学路。そんな、捉え所のない不安を抱えた方達を励ますメッセージとなってます。
Tachikawa Photo Essay「シジミチョウの星屑 / BUTTERFLY COMET」
夏を送った遠い彼方に想う
堕煙に燻された九月を見過ごし 華やいだ街を外れれば
すべての友よ、切なくも笑みをはじく道端の星屑であれ
目に見えぬうずきを伴ったとしても、野にたたずむ花には群棲する友がある
すみれ色の小さなチョウは訪れ、ミツバチが遊びに来て金色の星屑を撒く
だから私も約束しよう
あこがれに煌めく大輪より、静かに営む命には何にも勝る幸せが咲くだろう
筆者プロフィール
おおつきみつあき
文筆家、イラストレーター
小さくも元気よく舞うシジミチョウを、普通の人の営みと重ねて俯瞰したessay。
困難な状況でも元気よく日々の営みを大切にという想いが伝わってきます。
10月は夜空が素敵な季節。
中秋の名月に流星群。
10月8日頃りゅう座流星群、10月21日頃オリオン座流星群。
ふと夜空を見あげると星の煌めき。
とてつもなく広く、悩んでいる事は小さなこと。そんな気持ちにしてくれます。
48年前10月9日。
「ジャコビニ彗星の日」
少しづつ恋人と疎遠になっていくことを、だんだんと『日常』として受け入れ始めている。
そして48年後の10月。いろんなことを日常として受け入れていく。どこか共感できる部分があるなぁと。
OCTOBER SONG 「ジャコビニ彗星の日」
夜のFMからニュースを流しながら
部屋の灯り消して窓辺に椅子を運ぶ
小さなオペラグラスじっとのぞいたけど
月をすべる雲と柿の木揺れてただけ72年10月9日
あなたの電話が少ないことに慣れてく
私はひとりぼんやり待った
遠くよこぎる流星群それはただどうでもいいことだったのに
空に近い場所へでかけていきたかった
いつか手をひかれて川原で見た花火
夢はつかの間だと自分に言いきかせてシベリアからも見えなかったよと
翌朝弟が新聞ひろげつぶやく淋しくなればまた来るかしら
光る尾をひく流星群
(作詞:松任谷由実)
文・写真:Yuji Toda
立川新聞編集長/カメラマン
https://www.yujitoda.com/
立川CAMERA
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