2月8日、RISURUホールで開催されたコンサート「ミュージック & アート in TAMA Vol.50 プラタナスがくれた贈り物」にお邪魔してきました!
当日、会場のロビーには開催50回目を記念して過去のポスターがズラリ。
さまざまな演奏家やアーティストがこの企画に関わってきたことがわかります。
会場内に入ると、子どもたちに向けた公開リハーサル中。
よちよち歩きの赤ちゃんにとっては、もしかするとこれがはじめてのコンサート体験になったのかも?
ウロウロしながら美しい音色に耳を傾けている姿が印象的でした。
コンサートの本番がはじまると、美しい衣装を纏った4人がステージの上に現れます。
木管三重奏の木の温もりを感じさせるふくよかなハーモニーと、ピアノのたゆみない流麗な演奏に客席は終始ウットリ…。
4人の演奏に続いて、一人一人にスポットライトを当てたソロ演奏。
演奏家による楽器や曲の解説付きで、それぞれの楽器の違いとともに、演奏家の個性もよく分かりました♪
庄司知史さんは、今回なんと完成したばかりの新しいオーボエで、初の演奏を披露してくれました。
このオーボエ、海外の有名な職人さんによる、おそらく最後の一本なのだそう。
華やかでありながら哀愁を帯びた音色と豊かな表現力。
歌詞まで聞こえてきそうな、女性シンガーの歌声を彷彿とさせる音色でした。
橋爪恵一さんは、三管の中でもっとも聞き馴染みのあるクラリネット。
「IMMER KLEINER(だんだん小さく)」という曲を演奏してくれました。
「だんだん小さく」…演奏のボリュームが徐々に静かに小さくなっていくという意味かと思いきや、
小さくなっていくのはなんと楽器!
楽章ごとに楽器を分解してどんどん小さくなり、最後はマウスピースだけになっちゃいました。
楽器の構造と、どんな風にクラリネットの音ができているのかが聴覚で分かる、ユニークな演奏でした♪
最後はファゴットの前田さん。
三管の中で一番音が低く、ハーモニーを下支えするファゴットのように、前田さんのトークもどっしり、おっとり。
楽器の特性は面白いほど正確に表れるものですね。(笑)
しかし、ファゴットの音は低いからといって野太くルーズな印象ではなく、歯切れがよく、細かなリズムも軽快に刻みます。
リズムは息でコントロールするらしく、忙しく繊細に動く口元を見ていると、その難しさがよく分かります。
途中、プラタナスの木の保存運動で活動した中心人物である、銅板造形作家、赤川BONZE政由さんや、友安昭さんがステージに上がり、保存活動の当時の様子や、こうした活動を語り継いでいくことの大切さを伝えてくれました。
そして、第二部の始まりには榊原紀保子さんによるピアノのソロ演奏。
波のように押し寄せる旋律とダイナミックかつ繊細な表現に、思わず身体が揺れます。
その後、再度4人揃ってたっぷりと演奏を堪能し、コンサートは幕を閉じました。
そして今回、ステージの後ろを彩っていたのは、東日本大震災の復興を目的に設立された「チクチクきものプロジェクト」で作られた、50×50cmのタペストリーを繋ぎ合わせたものでした。
タペストリーには津波で流された着物の一部を使われていて、これまでに世界25ヵ国の人が参加しています。
復興への祈りが込められた一枚一枚の布が、立川の歴史と平和への祈りを語り継ぐこのコンサートを見守っていました。
誰かのことを想う気持ちは、こうして場所や境遇、時代を越えて繋がっていくのかもしれません。
文・写真:しも
長野県安曇野市出身、立川在住のフリーライター。レゲエユニット「KaRaLi(カラリ)」でミュージシャンとしても活動中。
KaRaLi:FacebookKaRaLi