Tachikawa Photo Essay『とどかぬはな』

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編集部が撮影した写真と短編エッセイで綴る「Tachikawa Photo Essay」

久しぶりの掲載になる今回は花を楽しめる立川の今と、世界で起きていることを語ったエッセイになります。

とどかぬはな

花の季節になると、とりわけ日が落ちる頃に気持ちが優しくなる。
空まで桜色に染まるのは4時か、あるいは5時過ぎか。
温かい色に溶ける薄紅の群れを包むのは、意外にも少し冷たい空気で、その散る儚さが胸を締め付ける。
 また見たいと先の一年に道標を付けてくれる景色が綺麗で、笑みを思い出す自分は幸せ者だ。
空にせよ大地にせよ、そして海にせよ、つながる空気に焦土のいま。
 透ける花弁に遠い地を臨む春。
 風に乗るたんぽぽは、どこまで想い運ぶだろう。
梅雨の季節を明けむれば、俯く民人に青く茂る和を拡げん。

筆者プロフィール
おおつきみつあき
文筆家、イラストレーター

写真:Yuji Toda
立川新聞編集長/カメラマン
https://www.yujitoda.com/

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