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玉川上水のほとりで古楽器の音色。ロバハウスで過ごすいつもと違うクリスマス

多摩モノレールを玉川上水駅で下車。

2016年の12月25日。クリスマスだというのに、イルミネーションで溢れる立川駅周辺とは打って変わって、この駅はとても穏やか。

そんな中、玉川上水に沿って東の方へ向かう人がちらほら。

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冬枯れの道をまるでアリの行列のように、とぼとぼと歩いてたどり着いたのが「ロバハウス」。

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曲線的で歪みのあるシルエット。

さまざまな形の窓。

壁に絡まるツタ。

その外観は、住宅地の中で異彩を放つ一方、隣に面した玉川上水の自然によく馴染み、まるでここだけ玉川上水が“はみ出している”かのようだ。

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今日は、ここロバハウスを拠点に活動する「ロバの音楽座」のクリスマス公演「ロバのクリスマス」の日。

毎年これを楽しみに、全国各地から多くの人がやって来る。この日は沖縄から来たという人もいた。それも一組ではない。

立川在住3年目の筆者もロバハウスやロバの音楽座の存在はもちろん知ってはいたのだけど、まさかこれほどまでに全国に熱いファンが存在するとは。

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やがて開場の時間になり、中に入る。

らせん状の階段を下りた吹き抜けのスペースがステージだ。

ステージといっても段差はなく、そこにいくつもの楽器が置かれ、向かいに椅子が並べられていることで、ここで演るのだと分かる。

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人物の顔が彫刻された7弦のチェロや、蛇のように曲がりくねった金管楽器、ヒョウタンのような形のボディーと細いネックが印象的な弦楽器など、楽器は見慣れない奇妙なものばかり。

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さらにステージ上だけでなく、棚にも壁にも所狭しと置かれ、飾られている。

これは夢か幻かと混乱するほどの不思議な光景だ。

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中世・ルネサンス時代の古楽器や世界の楽器、自作した“空想楽器”を奏でるロバの音楽座。

ステージで演奏されるのを待ちわびる楽器たちが、これからどんな音を響かせるのか、期待に胸が高まる。

お客は子どもが最前列に招かれ、大人は後ろの椅子に腰かける。

目を輝かせる子どもたち。奇妙な楽器たちは、手を伸ばせばすぐ触れる距離にある。

お手洗いを済ませたお客が全員席についた頃、らせん階段の上から一座が登場。

会場の空気がひと際あたたかく、やわらかくなる。

roba-house01可愛らしい衣装をまとった5人。衣装というと、“演出”というニュアンスに聞こえるかもしれないけれど、この場所にも楽器にも、そして座員それぞれの雰囲気にも馴染み、まるで森からやって来た5人の妖精のよう。

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弦楽器や金管楽器、木管楽器、鍵盤楽器に打楽器。曲によって5人は楽器を持ち替え、ときには歌もうたう。

リズミカルな曲に体が揺れ、たまにおどけたような演出に子どもたちの笑顔がこぼれる。

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そうかと思えば、リズムを抑えた豊かなメロディの曲がはじまると、あまりのハーモニーの美しさにハッとさせられる。

その音は、カメラのシャッターを切るのも遠慮するほどの優しい音量で、生声の歌とも調和。

どこか未完成で、どこか頼りない音色は、いつか幼い頃に自然の中で聞いた音のように、懐かしく、愛おしさすら感じさせる。

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中盤からは5人に加えてロバの音楽座の主宰である松本雅隆さんの次女、更紗さんも登場。

しなやかな舞いと、7弦のチェロのような楽器、ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏で、ステージの彩りはさらに豊かに。

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roba-house13オリジナルの楽曲を中心に、クリスマスソングを交えながらたっぷりと繰り広げられた演奏会は、観客も一丸となっての大合唱で幕を閉じた。

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街の賑わいとは無縁なこの場所で、新しい音に驚き、奇妙な音に笑い、懐かしい音に琴線を震わせた約一時間の物語は、心の中でイルミネーションよりもまばゆく輝く、クリスマスの特別な贈りものだった。

来年は家族を、大切な人を誘って来よう。

roba-house51ロバハウス(http://www.roba-house.com

文・写真:しも
長野県安曇野市出身、立川在住のフリーライター。レゲエユニット「KaRaLi(カラリ)」でミュージシャンとしても活動中。
KaRaLi:FacebookKaRaLi

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