Tachikawa Photo Essay 「夏の思い出」 / 立川カメラ

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歴史的な猛暑が続く2024年。暦の上では立秋を迎えますが秋の気配はまだまだ先のようです。昭和記念公園の向日葵も見頃を迎え、夏本番という感じでしょうか。

そんな夏の風情を写真とエッセイで綴る「Tachikawa Photo Essay」 

今回は二編お届けします。


「スイカと渦巻き、金魚鉢の思い出」

子供のころ、祖母の家に滞在した夏の日のお話し

朝起きると、方々の部屋にくすぶる蚊取り線香

子供たちは残り香をいぶかるも、夏掛けの布団で払ったり潜ったりしてキャッキャと戯れる

騒々しさに伯母さんたちが起きてきて、静かにしなさいと叱られる

朝ごはんの片付けをしつつも、幼い自分たちは大人たちの脚を引っ張りあそぶ

そして燃えかすの渦巻きでバカボンごっこに再びキャッキャ

左の頬に残した小さき火傷の痕に、今も思い出す


土曜にあって、土用にあらず

日暮れて窓をあけるも、夏の宵

蝉しぐれ五月蝿き凪の中で、こめかみに浮かべる雫

ハフハフと食した鰻の思い出は遠く、

嗚呼、我が心も財布も心許なきかな

重箱には身も蓋もなしの酷暑なり

本日のお供はスイカを浮かべた ひやむぎ也


筆者プロフィール
おおつきみつあき
文筆家、イラストレーター

写真:Yuji Toda
立川新聞編集長/カメラマン

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